新規開業の罠〜甘い話にゃウラがある〜


 医師会で新入会員部会の理事をやったり、地区理事で新規開業時の入会手続きをやっていたりすると色々と見えてくることがあります。「あぁ〜、また業者に騙されてるな〜」と。
 以下、業界関係の話なので興味のある方はどうぞ。
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 関東では随分と前からですが、関西でも最近の開業の形態は「開業コンサルタント&ビル診療&調剤薬局」になっています。開業を考えている勤務医の先生達からすれば、これは最近の流れなので疑うこともなくこの形態を受け入れておられると思います。でも観点を変えて「この形態は、誰のための、誰がやりやすい、誰が損しない形態なの?」というところを見てみると、色々と見えてきます。

(ビルオーナーの視点から) 
 少し前から不動産関係では「医療ビルはおいしい」ということになっています。
・家賃を高く設定できる
・不払いをしない
・家賃交渉をあまりしない
・室内が汚れない
・客層が悪くない
・ビルの価値が上がるので、入居が全て終わった時点で一棟売りでさらに利益をだせる

(開業コンサルタント)
いわゆる「卸」のコンサルト部門や、それ専門の業者がいます。彼らはなにで収益を上げるかといいますと、
・コンサルト料(物件検索、診療圏調査など)
・機材のマージン
になります。
 コンサルト料に関しては、まあその精度がどんなものであれデータを出しているのであれば対価が発生してもかまわないでしょう。しかし問題は機材のマージンです。
開業する際には色々と医療機材をそろえる必要があります。でもこれは交渉次第でかなり変化するものなのです。しかし勤務医をしながらそんなややこしい交渉はできませんので、コンサルトに一任になってしまいます。で、コンサルトと機材の業者は結託しているので「頑張って勉強してきました!」といっても、高めの設定になっているはずです。じゃあ「卸」のコンサルト部門なら今後の薬剤部門での付き合いがあるので、無茶はしないだろうとお思いになるかもしれません。でもそこも罠です。”薬剤部門”と”コンサルト部門”はそれぞれ独立していて、ノルマも別にあるので関係は全くないと考えてもOKです。しかも最近の調剤は院”外”処方なので、調剤薬局に薬を買ってもらえればOKなわけです。

 極論をいえば、そこのテナントのクリニックが次々と潰れて、新規開業を繰り返してもらった方が敷金も入るし、機材購入代金もコンサルト料も入るし、テナント側としてはみんなウハウハなわけです。新規開業される先生の今後を考えてコンサルトしてくれる業者や銀行、不動産業者など皆無でしょう。でもそれは悪いことではありません。彼らには彼らの市場原理があり、その仕組みに気づかない方が悪いのです。
 さらに別の先生からの意見は「郡部の方が”開業”を考えた場合にリスクが少ないのに、なぜ郡部ではなく都市部での開業が多いか?それは都市部の方がテナント料(単価)が高いので、マージンが多く取れるからだ。」とおっしゃっていました。これは気づかなかったな〜
 
 開業した後のことまで考えてアドバイスしてくれるのは「医師会」ぐらいなものですよ。開業してから死ぬまでずっ〜とお付き合いがあるわけですから。
 開業前にそこの地区の「医師会」に連絡してみてはいかがでしょうか?

— posted by いんちょう at 08:40 am   commentComment [1]  pingTrackBack [0]

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